イップス(運動障害)の克服方法
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スポーツ恐怖症の原因と克服方法
イップス(運動障害)の原因とは?
スポーツを行う上で、特定の動作や場面に対して極度の緊張や不安、恐怖心を感じてしまい、本来の力を発揮できなくなってしまう場合があります。またそれが原因で競技自体を続けられれなくなり、選手生命を断念してしまうケースもあります。
このように身体的には何も問題はないのにも関わらず、精神的な原因によって引き起こる運動障害をイップスとも呼びます。イップスに陥ってしまうとスポーツの動作に支障を来したり、自分の想い通りにプレーできなくなってしまいます。
野球、ゴルフ、テニス、バスケ、サッカー、バレーボールなどの球技の他、陸上競技、武道、スキー、スケートなどあらゆるスポーツにおいていイップスに苦しんでいる方も少なくないのです。
ではなぜスポーツに対して恐怖心を感じたり、普通にプレーができなくなってしまうのでしょうか?
それには大きく分けて3つの原因があります。
1.ケガ
2.失敗体験
3.プレッシャー
1.ケガ
試合中や練習中に不運にもケガをしてしまう。そしてケガの治療中は早く治したい!という意識の方が強いのに、いざ治って再開しようとしても「怖い…」と感じてしまうのです。
また自分では「怖い…」とは意識していなくても、ケガをした時と同じような動作や場面で体が勝手に拒否反応を示したり、逃げ行動をとってしまう場合もあります。
頭では「しっかりしろ!」「大丈夫だ!」「怖くなんかない!」「集中するんだ!」と自分に言い聞かせてもやはり、いざと言うときに恐怖心が芽生えたり、無意識的に体が拒否反応を起こしてしまうのです。
やはりその裏の心理は「またケガしたらどうしよう…」という不安があるからです。
病院で診察や検査を受けてもケガは完治して全く異常がないのに、ケガをした部分に何か違和感のようなものを感じて、競技に集中できなかったり、100%の力を発揮できなくなり、最終的には続行を断念するという方もいます。
ではこんな時に指導者はその選手をどう指導するのでしょうか?
「気合で乗り越えろ!」
「逃げちゃだめだ!」
「怖がるな!」
このように「恐怖心は気合で乗り越えろ!」と言うのが世間ではまだまだ一般的です。
では本当に根性だけで恐怖心が乗り越えらるのでしょか?
悲しいことに、そう簡単にいかないケースが多いのです。
2.失敗体験
過去の失敗体験がある種のトラウマになり、「また失敗したらどうしよう」「失敗してはいけない」「今度こそうまくやらなければ!」という思いが強くなってしまいます。そんな思いが強くなればなるほど無意識的に体が力んでしまい、極度の緊張や不安、恐怖を感じ結局うまく行かなくなってしまうのです。
脳は否定語を理解できないと言われています。
例えば、「ピンクの像をイメージしないように!」と言われても、頭の中では勝手に「ピンクの像」がイメージされてしまいます。
このように「◯◯ではない!」「◯◯はいけない!」「◯◯してはいけない!」と思考しても、◯◯というイメージが浮かんで来るのです。
ですから「失敗してはいけない!」と意識した途端に失敗した時の映像が頭の中にイメージされます。そうすると「失敗してはいけない!」と思えば思うほど、失敗する場面を繰り返しイメージトレー二ングしていることになるのです。
その結果、本番ではその失敗イメージ通りに身体が反応してしまうのです。
3.プレッシャー
失敗体験によって「次はうまくやらなければ!」「失敗してはいけない!」と自分にプレッシャーをかけてしまう場合もありますが、他人からのプレッシャーを強く感じてしまい、本来の力を発揮できない場合もあります。
例えば…
- チームメイトやパートナー
- コーチや監督
- 家族
- ファンや応援者
これらの人に対して「迷惑をかけてはいけない」「期待を裏切ってはいけない」という意識が過剰に働いてしまうと、それが大きなプレッシャーとなり逆に本来の力を発揮できなくなってしまうのです。
イップスに悩む方は、本当は競技を続けたいのに、身体や心が言うことを聞いてくれなく、まさに頭と身体が真逆に反応してしまうという非常にもどかしい日々が続くのです。
イップスの裏の心理
頭では「続けたい!」「もっと練習してうまくなりたい!」と思っているのに、どうして恐怖心が消えなくなってしまうのでしょうか?
その裏の心理には私たちの本能が大きく影響しています。
私たち人間の最終的な欲求は「生存」です。生存欲求があるからこそ、食欲も性欲も睡眠欲も存在するのです。ですから、私たちは潜在意識レベルで痛みや苦痛など生存に悪影響を与えるものを避けようとするのです。
過去のケガや失敗は、自分にとっては大きな苦痛です。そのため潜在意識では過去に味わったそんな苦痛を二度と味わわないように仕向けるのです。
以前ケガをして痛い思いをしたのであれば、それに似た状況が近づくと警報を鳴らします。「おい!大丈夫か!またあの危険が迫っているぞ!」
そして身体に緊張が走り警戒体勢になった結果、その状況から自然と逃げるように身体が反応したり、動きが悪くなってしまうのです。
イップスの克服方法
では一旦出来上がってしまった競技への恐怖心はどうすれば克服できるのでしょうか?
それには3つのアプローチがあります。
1.ハードルを低くする
2.意味付けを変える
3.イメージを変える
4.トラウマを解消する
1.ハードルを低くする
イップスになると、どうしても以前のように全く問題なくプレーできる状態を目指してしまいます。そして以前よりも少しでも劣っている点があると自分にダメ出ししてしまいがちです。ついつい完璧主義になってしまうのです。
そこでまずは目指す状態のハードルを下げてみましょう。ゴールを低く設定するのです。
例えば、
- 恐怖を感じる動作の手間までやってみる
- 苦手な動作を完璧にこなすのではなく、まずはやってみることを目指す
- 低い成功率でもよしとする(10回やって1回できればOKなど)
- 以前の状態と比較するのではなく、昨日の自分と比較する
できない自分にフォーカスを当てるのではなく、少しでもできたこと、前進したことにフォーカスを当てるのです。
そうすると進歩している自分を感じられるため、徐々に自信がついてきます。
2.意味付けを変える
スランプの時や思い通りにいかない時には「前は良かったが今はダメ」という思考に陥りがちです。良いか悪いかという白黒思考になってしまうのです。
しかし、スポーツの世界で活躍している一流選手は、誰でもスランプや挫折、ケガや失敗を繰り返し、その経験を生かし、そこから這い上がって今の自分を手に入れているのです。
サッカーの本田選手はこう言っています。
「ケガはチャンスだ!」
通常ケガは「最悪な状態」と捉えがちです。しかし本田選手は「ケガは自分を見つめ直し、心も肉体も進化させる絶好の機会だ!」と捉えているのです。
もちろん全てのスポーツ選手が本田選手のような強靭な精神力を持ち合わせている訳でもありませんし、簡単にそうなれる訳でもありません。
しかしイップスの原因はメンタルにあります。ということは、心のあり方を変えれば「恐怖」という感情も違ったものに変えられるのです。
だとしたら自分の意識を変える方向にシフトしてはいかがでしょうか。
そこでスポーツ恐怖の意識を変える質問というのをご紹介します。
ぜひこの質問でマイナスに見える今の状態の「意味付け」を変えてみてください。
「もしこの経験が今後の人生にとって必然だとしたら…この経験から一体何が学べるのだろうか?何に気付けるのだろうか?どんな知識やスキルが身につくのだろうか?」
3.イメージを変える
ケガや失敗体験は記憶というイメージとして自分の中で強化されていることがあります。そして過去の記憶というのは実はイメージです。
例えば、野球の大会の決勝戦。一打逆転の大チャンスで自分が三振してゲームセットとなった失敗体験があるとします。
するとその記憶は3つの要素から成り立っています。
- 視覚情報
- 聴覚情報
- 身体感覚
1.視覚情報
これは頭にイメージさせれる映像です。
マウンドに立つピッチャー。空振りをする自分の姿。観客やチームメイトの落ち込む姿など。
2.聴覚情報
これは耳から入る音や声です。
チームメイトや観客の応援、ブラスバンドの応援曲、ミットに収まるボールの音など。
3.身体感覚
これは身体が感じる味覚、臭覚、肌感覚、感情などです。
ジリジリ照りつける日差しの暑さ、頬を流れる汗の感覚、胸のドキドキ感、三振した時の全身の力が抜ける失望感など。
これらの3つの要素が一つになって一つの記憶が出来上がっています。
そうすると、過去の失敗した場面を視覚的、聴覚的、身体感覚的に感じると、それが引き金となって失敗した時のような体の反応や感情が再現してしまい、体に力が入ったり緊張や恐怖が増してうまくできなくなってしまうのです。
ですから、自分の脳に記憶としてインプットされている3つの要素を変えることで、苦手な場面のイメージが変わりそこにへばり付いている感情も変わるのです。
イメージ転換の方法としては、苦手な場面のイメージを変えます。
◎視覚情報の転換
・背景を変える(色、環境)
・明るさを変える
・人の見た目を変える(顔、表情、髪型、服装)
・動きを変える(静止画、動画、スローモーション、早送り)
◎聴覚情報の転換
・音を変える(無音、BGM)
・声質を変える(高く、低く、面白く、可愛らしく、優しく)
・スピードを変える(早口、スロー)
・ボリュームを変える(大きく、小さく)
◎身体感覚を変える
・体感温度、湿度
・香り
・味
できるだけ面白おかしく、バカバカしくなるような感じにすると良いです。
4.トラウマを解消する
最後にご紹介するのが、トラウマ解消です。この方法が一番効果的です。
イップスに悩む方は過去のケガや失敗体験がきっかとなってになってしまった方が多いです。
あるいは、ある日突然うまくいかなくなり、「アレ?おかしな…」という偶然の出来事がきっかけで負のスパイラルに陥ってしまうこともあるのです。
ということは裏を返せば、もし過去のケガや失敗体験、きっかけの出来事がなかったとしたら、今の運動障害は起きていなかったとも言えます。
過去のきっかけの体験がトラウマとなり、今の自分にも悪影響を与えているのです。
ではトラウマとなる「過ぎ去った体験」を解消させることはできるのでしょうか?
実は可能です。
先ほどのイメージの項目でも説明したように、記憶といいうのは「視覚情報」「聴覚情報」「身体感覚」が1つのセットとなって脳に保管されています。
ですから脳に保管されている記憶という「イメージ情報」を変えることで過去の記憶を転換することもできるのです。
そうすると過去の出来事(怪我、失敗体験など)の記憶をピンポイントで転換でき、その体験で出来上がった恐怖心や体の反応も改善することができるのです。
トラウマを解消させる「過去の記憶の再編集」という心理ワークを使うことでトラウマを解消させてイップスを改善することが可能なのです。
イップスは身体ではなく100%心の問題です。
巷のイップス改善方法では、身体の使い方をチェックしたり修正したりする方法が一般的です。
しかし、イップスになるまでうまく行っていたのなら、身体的な機能や能力には全く問題がないということです。
もちろん、手術などで身体の機能や動きが以前と微妙に変化しているときには、自分のイメージと身体の動きを一致させることも必要です。
しかし、一番の問題は「心」です。
心の在り方や内部イメージ、感情が変われば、行動も能力も自然と変わります。しかし、いくら身体をいじくっても心の状態が変わらなければ、結果は何も変わりません。
あなたはもう十分に苦しんできたはずです。だからこそ正しい改善方法を実施してください。
イップスを解消する方法
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